【手術を後悔する可能性】犬の僧帽弁閉鎖不全症コロンの手術体験記

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11月17日、面会後。

回復傾向は見られないまま、また明日の数値が改善されていることを期待して様子を見ることになりました。

今日の面会では、
「最悪の場合、命に関わることもあり得る」と言われてしまい…。

その日の夜。
ホテルに戻り1人になって、先生に言われたことを思い出していました。

ひとつ前のお話はこちら

目次

僧帽弁閉鎖不全症の手術

専門医さん

この手術の怖いところは、そこなんです。
順調に回復しているようでも、突然崩れることがある。

どのワンちゃんなら大丈夫ということは無く、手術をしてみないと、それは誰にも予測できないのだそう。

その為、コロンが手術をした病院では、全面的に手術を勧めることは無く、余命幾ばくも無くなった時に飼い主さんの判断で選択する、あくまでも【最終手段】という感じでした。

成功率が100%ではない以上、手術の失敗や、手術中・手術直後の急変はあり得ると思って覚悟していたけれど、まさか手術は成功したのに6日後にこんなに命に関わる状態になるなんて…。

順調に回復したワンちゃんなら、もう退院できるくらいの日数なのに…💦

手術の成功率

犬 僧帽弁閉鎖不全症 手術 体験記 コロン
術後6日目のコロン

「命に関わることは無いのでしょうか…?」
という私の質問に、
「この状態に関しては、…あり得ます。」
と言った専門医さん。

コロンは、400件以上手術をしてきた先生達が
「一度も見たことが無い」という事態が起こってしまい、血小板の数値が下がり続けています。
治療は続けてくださっているので、順調にいけばそろそろ回復していくはずの数値がずっと下がり続けていることは、とても不安でした。

数値の減少が止まって、上昇してくれれば良いけれど、今後更に下がっていくと厳しい状態になるそう。
これからどうなるのか、誰にもわからない状態でした。

回復しているように見えても、突然崩れることがあるのが、この手術の怖いところ。

確かにコロンは、問題がやっと一つ改善されても、翌日にはまた新たな問題点が浮上して、一進一退の状態です。

最善を尽くしても助けられなかった命を見てきた先生達は、「簡単に大丈夫だと言えない」のだとおっしゃっていました。
レアなケースが起きているコロンは、余計に「大丈夫」だとは言えない状態です。

手術前に、【9割成功する】と言われていた手術の成功率。
助からない可能性は【1割】だと思っていたけれど、今のコロンの状態は、

「綱渡りをしている状態」

だと言われました。

なんという的確な表現…

どちらに転んでもおかしくない状態だということが、よくわかります。

助からない可能性が、もう1割ではなくなり、気付けば五分五分になっている…。

考えたくはないけれど、最悪の事態も覚悟しておかなければいけない油断のできない状態で、とても怖かったです。

コロンの手術を決断したのは7月。
「年明けまでしか生きられない。」と言われて、助かる道に賭けました。
成功率は9割。
手術は11月。

手術の成功率が100%では無いことが怖かったけれど、投薬治療を続けても、年明けには亡くなってしまう。
もし手術が成功しなかった時は、助からない運命だったんだ…と思う覚悟で決断しました。

けれど今、コロンが本当に助からないかもしれない状況に直面した時、私は自分が実は何も覚悟ができていなかったような気がしました。

命懸けの手術だったので、もちろん覚悟はしていたのですが、手術の当日がピークだった気がします。
術後2日間は一番油断ができないと聞いていたけれど、コロンはその2日間を数値が良いまま乗り越えたので、その山を越えられれば大丈夫だと、どこかで思っていました。

せっかく手術当日も術後の2日間も乗り越えられたのに、その後でこんなに命懸けの事態が起こるなんて…。

心臓手術あなどり難し!!

手術を後悔する可能性

コロンを助けたい一心だったけれど、もし助からなかった時の「コロンの気持ち」を、考えてあげられていなかったな…と思いました。

あんなに家族が好きで、コロンにとって家が一番安心できる場所だったのに。

もし亡くなるのなら、一番安心できる家で、家族で見守りながら見送ってあげることが最善な気がしました…。
コロンもきっとそれが嬉しい気がします。

けれど、もしかすると家からこんなに離れた病院で一人死なせてしまうことになるかもしれない…と思うと、私はなんという決断をしてしまったんだ…と後悔に襲われました。

もしもの為に、私は近くのホテルに滞在しているけれど、間に合わない可能性もある。
そんな場面に直面するかもしれない可能性があり得ると思うと、どんどん血の気が引いていきました。

コロンが助からないかもしれない…
どうしよう…

そして、そうなった時に、コロンの気持ちはもちろんだけれど、もう一つ後悔しそうで怖かったのが、

多額の出費です。

僧帽弁閉鎖不全症の手術にかかる費用

手術の費用について、最初の説明で【順調に回復すれば2週間の入院で120万くらい】だと言われていましたが…、
コロンは順調に回復しておらず、「最低でも3週間は入院することになる」と言われているので、もっと上回ると思われます。
※結局6週間入院しました。

それでも元気になれば良い。
全てはその為!

でも、もし元気にならなかったら…

私は【手術】にかかる費用が120万と言われて、その金額でコロンが助かるような錯覚を起こしていました。
多めに考えても、150万くらいあればコロンの命が救えるような気がしていました。

・・・が、
甘かった・・・

手術費以外の治療費に、既にかなりの出費が必要でした。

治療にかかった費用(コロンの場合)

【治療費】+【手術費】=治療にかかる【総額】。
【手術費】は、術前に前払いした88万円と、術後の入院期間や治療に合わせて請求される入院費の合計で、これが【順調にいけば120万】ということでした。
※2021年11月の時点での金額ですので、その後物価の高騰に伴い金額が上がっている可能性があります。

結果コロンは、術後に6週間入院することになり、この【手術費】に165万円かかりました。

【治療費】は、手術までの闘病期間に必要な、
毎日の薬代(1ヶ月に37,000円くらい)や、レンタル酸素機代(毎月16,500円)。
コロンの場合はそれが、かける5ヶ月分。
薬代以外にも、病院での検査は毎回2万円くらいかかって、そういう検査を何度もしました。

二次診療施設での診察や検査は、初診が5万円で、その後は毎回3万ほど。
病院へ行く為に、高速代とガソリン代が毎回往復で4万円。
1年間で8回通ったので、治療の為の交通費だけで32万。
ズルズル滞在期間を延ばしたホテル生活の宿泊費は12万ほど。

肺水腫で入院するたびに1回の入院に5万から10万はかかってしまって、
とにかく治療費が高額。
心臓の薬が高額。

ただこの【治療費】は、通院するたびとか、1ヶ月に1回ずつとか、必要な時に分割で支払われていくので、【手術費】の高額一括払いに比べると、そこまで大出費した感覚がありませんでした。

その時に必要な治療を必死で受けさせた結果で、必要な出費であったと思います。

今こうやって改めて計算して、【治療費】だけでもかなり高額だった…と気付いて驚愕です😱

そんなわけで、【治療費】+【手術費】で、1年間の間に【総額】280万くらいかかっています。
※治療費には術後1年検診までの薬代や定期検診代なども含まれています。

震える…

凄い額です…。

同じ病気で闘病している飼い主さん、手術をされた飼い主さん、ワンちゃんの看病で不安な中、金銭的にもかなりきついはず…。 
コロンよりもたくさん薬を飲んでいる子は、薬代にもっとかかるだろうな…

手術代や、酸素室などの主な治療費は私が負担したのですが、交通費や薬代は家族が負担してくれました。
家族の協力が無ければ、とても一人では捻出できない出費でした。

それでも、命を助ける為。
高額の出費をしてでも、救いたかったので決断しました。
お金は、また働けばいいと思ったし、それでコロンが助かるなら、何も惜しくはないと思いました。

でも、コロンが亡くなってしまったら…
お金もコロンも何も残らないと思うと、素直にゾッとしました。

コロンが助からない可能性が出てきた今、コロンの気持ちも、高額出費も、取り返しのつかない決断をしてしまったような気がしました。

かと言って、今瀬戸際で頑張っているコロンの治療を止めてしまうことは、死刑宣告。
そんなことをしたら、何をしにここまで来たのか本当に分かりません…。

もし亡くなってしまうことが分かっているなら、連れて帰ってやりたい…。
でも分からない。

これから、どんな未来が待っているんだろう…
先が何も見えなくて不安でした。

涙は全く出ず、ただ青ざめていました。

…と、

ホテルで一人、ひと通りマイナス思考を炸裂させたところで、

今もコロンは病院で一人頑張っているんだから…。
と我に返りました。 

こういう時、人間は予防線を張ろうという意識が働くものなのか、どうしても良くない方向へ考えてしまうけれど、やめよう。
弱気になっても仕方がない…!

もともと、手術を選択せずに亡くなってしまったら、「手術をしていれば…」と後悔すると思ったから決断したことでした。
手術をしていなければ、それはそれで私は悔いが残っただろうと思います。

回復傾向は見られないものの、今日は下がり続けていた数値が止まったと言われたし…、面会の時に美味しそうにボーロを食べてくれたし、
今はコロンの回復と、先生達を信じて精一杯見守ろう…!
と奮起しました。

コロンは今 生きているんだから…!

コロン

縁起でもないよね。

この夜私は、術後に愛犬が亡くなってしまうと、こんなに後悔するんだな…と思いました。

それが現実になるかもしれない状況になって、一人で青ざめていました。

そんな時に、コロンの回復を願って、一緒に応援してくださっている方々の励ましがとてもありがたくて、何度も何度も救われました。

地元の友達や家族、手術が決まってから始めたTwitterでコロンを知ってくださった方々…。
同じ日に手術をした飼い主さん達。
人とのつながりが、本当に心強かったです。

治療の選択

手術で助かるかもしれないという可能性を、私はどうしても捨てきれなかったけれど、それでコロンが亡くなれば、こんなに後悔するのだな…と思いました。

亡くなることが避けられないのであれば、家で看取ってあげることが最善な気がしました。

手術で亡くなった場合、自宅で看取ることはできなくなる可能性があること、死期を早めてしまうということ。
それが頭では分かっていたつもりだったけれど、そもそも手術が成功して元気になることを目指して決断しているので、最悪の場合を想定しきれていなかったな…したくなかったのかもしれない…と思いました。

全然覚悟ができていなかったな…。

そう思った時、

コロンの手術を決断するのは、とても勇気がいったけれど、投薬治療で自宅で看取るという決断をすることもまた、たくさんの愛情と勇気がなければできないことだと思いました。

私にはできなかった決断。

家族である飼い主さんが、ワンちゃんのことは一番理解しているだろうから、その飼い主さんが決断した治療法が、どんな結果であれ きっと正解なのだと思います。

尊い命を想う

幸いコロンは、先生方の懸命な治療の末、元気を取り戻しました。

薬を飲まず、この闘病の日々がまるで無かったことかのように、元通りの生活を送ることができるようになった時は夢のようでした。
とても嬉しくて、一緒に過ごせる毎日に幸せを噛みしめる日々です。

そんな時に思い出すのが、同じ手術をして助からなかったワンちゃん達のこと。
全員助かることができれば、どれだけ良いだろう…。

手術をしても、どうしても亡くなってしまうワンちゃんがいることは、本当に残念で、私がこの日感じた とてつもない恐怖や悲しみが現実になっている飼い主さんが実際にいらっしゃると思うと、胸が締め付けられる思いです。

本当に悲しいことだけれど、先生がおっしゃっていた、

助からなかった子達を見てきたから、そうならない為に、それらの経験から、今想定できること・できる事の最善を尽くして、重ねていく。
たくさんの経験から、治療法を判断していく。

そこに、その子達が生きた証が確実に残っていると感じました。

結果コロンは、長い治療の末 無事に助かったのだけれど、
それは、今まで助けられなかった子達の情報や、先生達のその経験によって、最善の治療をしてもらえたからだと思いました。

たくさんの尊い命に
コロンは救ってもらったと思っています。

そしてこれからも、その尊い命は
たくさんの命を救い続ける。

たくさんのワンちゃん達が、今も手術によって元気になっていることが、その子達が生きた証だと思います。

手術を決断してくださった飼い主さん、病気と闘い 手術を頑張ったワンちゃん、命を繋いでくれてありがとう。

まとめ

術後6日目の夜。

命に関わる状態になるかもしれない危機に直面して、手術前日と同じように、また悪い想像が頭の中をグルグル回っていました。

助からないかもしれないことが、ただただ怖かったです。
これまでに同じ手術をして助からなかった子達や、飼い主さん達の気持ちに思いを馳せました。

この手術が本当に命懸けだということを、思い知った一日でした。

手術の記録をはじめから読む

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