【犬の僧帽弁閉鎖不全症】心臓病が治ったコロンの闘病記録|まとめ

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犬 僧帽弁閉鎖不全症 闘病記録 コロン すぺしゃるワンライフ
執筆者

犬と暮らし続けて30年超。
コロンの闘病を機に、動物介護士・犬の管理栄養士・動物健康管理士など複数のペット資格を取りました。

犬 僧帽弁閉鎖不全症 闘病 ブログ コロン すぺしゃるワンライフ

コロンの闘病記録が同じ病気のワンちゃんの役に立てれば…と思って作った闘病サイトです。

同じ病気のワンちゃん達が、長く穏やかな日々を過ごせますように…✨

コロンです。
14才になりました♪

最近は、このブログを読んでくださった方がインスタグラムやツイッターで連絡をくださるようになり、コロンの回復に希望をもらったというお言葉をたくさんいただいて、嬉しく思っています。

コロンの闘病記録

8才で僧帽弁閉鎖不全症と診断を受けて3年が経った
11才の時に、突然肺水腫を起こしました。

それまで定期検診はずっと異常が無かったので、ショックでした。

何も分からないまま始まった闘病生活。
初めて肺水腫を起こした2ヶ月後には余命半年宣告。

そして手術の決断。

治療を進めていくうちに病気について分かり、もっと早く知っていれば良かった…!と思ったことがたくさんありました。

初期症状や、繰り返した肺水腫、自宅で肺水腫の応急処置をした体験、手術の決断や術後の経過など、同じ病気のワンちゃんや飼い主さんのお役に立てればと、コロンの闘病記録をまとめることにしました。

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元気にお散歩できるようになった
現在のコロン

元気そうに見えていたコロンが、余命を宣告される事態に。
肺水腫を繰り返し、どんどん悪化していきました。

何かできることは無いかと、コロンを連れて循環器専門病院を受診することにしました。
自宅から6時間かかる県外の病院まで、勇気を出して受診しました。

病院の先生に教えていただいた病気の詳細手術について。
コロンが飲んでいるお薬などをまとめました。

コロン

シーズー犬の女の子です

目次

犬の僧帽弁閉鎖不全症闘病記録
【どんな病気?】

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僧帽弁閉鎖不全症とは、「心臓の弁(僧帽弁)が機能しなくなって血液が逆流してしまう病気」です。

我が家はコロンを含めて代々5匹のシーズー犬と暮らしてきたのですが、この【僧帽弁閉鎖不全症】という病気になったのはコロンが初めてでした。

コロンが初めて肺水腫を起こして緊急入院をした日、病院の先生が紙に心臓の絵を描きながら病気の詳細を説明してくださいました。

~ 図で解る僧帽弁閉鎖不全症 ~

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心臓は、このように4つの部屋に分かれていて、血液が次の部屋へと循環していき、逆流しないように弁が蓋をしてくれています。

左心房と左心室の間にある弁が僧帽弁(そうぼうべん)です。

僧帽弁が正常に働くのは、腱索(けんさく)という糸のような組織によって弁が引っ張られているおかげです。

この僧帽弁の腱索が切れたり伸びたりすることで、正常に蓋をすることができなくなる状態になり、血液が逆流してしまう病気が僧帽弁閉鎖不全症です。

コロンはこの腱索(けんさく)が広範囲に渡って 切れたり伸びたりして、弁がほとんど機能していない状態でした。

(※これは後に循環器の専門病院を受診した時に分かりました。)

血液が逆流するとどうなるの?

僧帽弁が機能しなくなったことによって血液が逆流すると、行き場を無くした血液によって心臓(左心房)が肥大します。

心臓は肥大し続けることはできないので、左心房に入るはずの肺から来た血液が行き場を無くし…

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僧帽弁閉鎖不全症になってしまったら、この【肺水腫】をできる限り起こさないように対処していくことが大切です。

突然の肺水腫に気を付けよう!

僧帽弁閉鎖不全症で気を付けなくてはいけないのが『肺水腫』です。

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このように肺水腫は突然起こるので、僧帽弁閉鎖不全症と診断されたら、普段から呼吸の様子を気にかけておくと、ワンちゃんの変化に気付きやすくなります。

突然の肺水腫を防ぐために!

心臓病に詳しい循環器の専門病院など、経験豊富な専門医さんや、詳しい検査ができる機材のある病院で診察してもらうことで、病気の進行がわかりやすくなります。

症状に合わせて薬で調節したり、病状の変化を予測しやすくなります。

≫初期段階でできることをまとめた記事はこちら

【犬の肺水腫】
こんな症状は要注意!

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闘病中のコロン

①呼吸が早い

安静時の呼吸が1分間に40回近くなると肺水腫を起こしている可能性があります。
浅く早い呼吸をします。

コロンは肺水腫を起こしかけている時の呼吸数が【1分間に35回】
肺水腫を起こした時は【40回】を越え、酷い時は【60回/分】を超えた時もありました。

※活動中や興奮した時などは 呼吸数が40回近くになることがある為、安静時に数えるのがポイントです。

コロン

コロンの安静時の呼吸数は1分間に17~23回くらいです。

【追記】
この記事を書いた闘病中はずっと17~23回が安静時の呼吸数だったのですが、心臓が治ってから測ると、安静時の呼吸数は9~13回でした。

闘病中は安静時でも呼吸が早かったことが分かりました。

②食欲不振

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食いしん坊で食べることが大好きなコロンが、肺水腫を起こした時は食欲不振になりました。

大好物のおやつも食べませんでした。

③チアノーゼ

舌や歯茎の色が白っぽくなります。
※色の変化がわかりにくい時があるので、安静時に歯茎や舌の色を確認しておくと良いと思います。

コロンは病院の先生に「肺水腫を起こしても口の中の色が変わりにくい」と言われました。

コロン

安静時は濃いピンク色で、チアノーゼを起こした時は薄いピンク色になっていたよ。

④犬座姿勢(けんざしせい)

やや上向きの状態で前脚を立てて座ります。呼吸が苦しい時の姿勢です。

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この犬座姿勢になった時、コロンの呼吸は1分間に60回を超えて、肺水腫を起こしていました。

上記のような【犬座姿勢】の時は、肺水腫を起こしている可能性が高い為、できるだけ早く処置が必要です。

≫初めて肺水腫を起こした時のお話はこちら

肺水腫になってしまったら!?

後に循環器専門の病院で診察していただいた時、

「最初の肺水腫で助かる確率は80%、一度肺水腫になると、2回目以降は命の保証はありません。」

と言われました。

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専門病院を受診した時には、すでに3回肺水腫を起こしたあとだった為、ヒヤッとしました。

ここでは、肺水腫になってしまった時の治療法や対処法についてまとめています。

肺水腫の治療法

利尿薬を使って 肺に溜まった血液を尿として排出します。

病院に連れて行くと利尿薬を注射してくださって、必要であれば酸素室で入院するなどの処置をしてもらえました。
※レントゲンを撮って、肺の中の状態を確認しました。

コロン

肺水腫を起こしている時は肺が白くなっていたよ。

その後は利尿薬を処方されて、投薬治療で再発を防いでいきます。

※利尿薬を使うと腎臓が悪くなるリスクがあるので、腎臓の数値を測定したり呼吸の回数を確認したりしながら、再度肺水腫が起こらないように利尿薬の量を調節していきます。

コロンの場合、利尿薬が徐々に効かなくなっていったので、少しずつ量を増やしていきました。

≫コロンが飲んでいた薬の量はこちら

肺水腫は命に関わる場合がある為、呼吸が早いと感じたらなるべく早く病院へ連れて行ってあげられると安心です。

酸素室を準備しておくと更に安心です。

コロン

酸素室はレンタルできるよ

≫闘病中にレンタル酸素室は必要?

病院が閉まっているときは…⁉

前述のように、肺水腫は突然起こる為、病院が開いていない時間帯に発症する場合が考えられます。

コロン

コロンは毎回、病院が開いていない 夜間に肺水腫を起こしました。

夜間の救急動物病院が近くにあれば安心なのですが…

私が住んでいるところは、夜間の救急動物病院が22時30分までで、曜日によっては休診日があり、すぐ病院に連れて行けないことが多々ありました。

そこで…、

夜 急に肺水腫になった時は、いつも飲ませている利尿薬をもう1袋飲ませて、レンタル酸素機で酸素を吸わせて自宅で応急処置をしました

※事前にかかりつけの病院で先生に応急処置の方法を確認していました。

自宅で応急処置なんて、とてもヒヤヒヤしましたが、なんとか呼吸が安定して大事には至りませんでした。

≫自宅で応急処置をした時の詳しいお話はこちら

すぐ病院へ連れて行ってあげられると安心ですが、病院が遠方であったり、時間外だったりすることがあり得ると思います。
病院にすぐ連れて行けないことが想定される場合は、かかりつけの病院で先生と、もしもの時の対処法や飲ませる利尿薬の量などを確認しておくと、救命に繋がります。

コロンは最初に肺水腫を起こしてから、手術までの5ヶ月間で4回肺水腫を起こしました。

≫肺水腫を繰り返したお話はこちら

肺水腫を早期発見する為にできること

肺水腫を起こす時は、呼吸数が変わります

安静時の呼吸数を把握して、普段から呼吸数をこまめに測るようにしておくと、少しの呼吸の変化に気付きやすくなります。

コロン

コロンの闘病中は、安静時の呼吸数が1分間に17~23回で、35回を超えると危険信号。
しばらくすると40回を超えて、肺水腫を起こしていました。

安静時(寝ている時)の呼吸数をこまめに数えるようにすると良いです。

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闘病中は、コロンが眠るたびに呼吸数を測っていました。

僧帽弁閉鎖不全症はどんな症状が出る?

コロンの場合

僧帽弁閉鎖不全症による初期症状
①【心雑音】

コロンの最初の症状は【心雑音】でした。

皮膚が弱く、頻繁に皮膚の治療で受診していたコロンは、診察の時にたまたま心雑音が分かりました。

コロン

そういえばその頃、お散歩の途中で疲れて、抱っこしてもらおうとすることが増えていたよ。

初期は症状が分かりにくいので、定期健診などで心雑音がわかることが多いようです。

コロン

8才の時に初めて「心雑音がする」と診断を受けて、その後11才まで特に症状は無く過ごしていたよ。

※症状や進行には個体差があります。

僧帽弁閉鎖不全症の初期症状
②【咳】 

心臓肥大による咳
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  • 吐きそうなのかな?と思うような、えずくような咳をします。
  • 心臓が肥大することで、気管や気管支を刺激する為、咳が出ます。

コロンはこの咳をよくしていて、明け方の目が覚めた直後や、興奮して心拍が上がった時に出ていました。

肺高血圧による咳

上記の咳とは違い、急に咳込みなかなか止まらない咳です。
落ち着いたと思っても繰り返すことがあり、肺で血圧が上がることによって起こる咳です。

コロンはこの咳をしたことはありませんでしたが、【循環器の専門病院】を受診した時に待合室でよく聞いていました。
引き込むような苦しそうな咳が続きます。

≫コロンの初期症状を詳しくまとめた記事はこちら

病気の初期は油断しがち

コロンの場合、この【心雑音】が分かった時点では、
「血液が逆流しているけれど、悪化しなければ大丈夫」
と言われて、あまり危機感がありませんでした。

悪化して肺水腫になった時に初めて、病気の詳細を説明をしてもらい、
「こんなに恐ろしい病気だったのか…」と焦りました。

もっと自分で病気について調べれば良かった…!と思いました。

肺水腫が起きた時にはかなり悪化してしまっていて、もっと早い段階で何かできたのではないかと後悔しました。

僧帽弁閉鎖不全症は薬では治せない病気ですが、この初期症状【心雑音】が確認された時点で投薬治療を開始し、継続していくことで、悪化を遅らせられる可能性が高くなります。

同じ病気の他のワンちゃんの飼い主さんにも話を伺ったところ、病院によっては、初期段階での投薬を飼い主さんの判断に委ねられる場合があります。

≫初期段階でしておけば良かった!と後から知ったことをまとめた記事はこちら

僧帽弁閉鎖不全症の闘病中は
【レンタル酸素室が必要?】

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闘病中に迷ったのが、酸素室のレンタル。

肺水腫を起こしていない時は必要ないので、レンタルするかどうか迷いました。

酸素室のタイプは選べる為、
「どのタイプが良いのかな…」
「どれくらいの頻度で使うことになるのだろう…」

と迷っている最中、コロンはまた夜間に肺水腫を起こしてしまいました。
苦しそうなコロンの様子を見て、

レンタルしておけば良かった!!

と大後悔。

もしもまた夜間に肺水腫を起こした時の為に…と、その後すぐにレンタルを決めました。

このように、
一度肺水腫を起こしている場合は、また同じように肺水腫を起こす可能性があります。

  • 突然起こる肺水腫に備える為には、酸素室の準備をしておくと安心です。
  • かかりつけの病院で先生に相談をして、レンタルを検討されると良いです。
    ※病院でカタログをもらえます。

コロンは病院が閉まっている夜間に肺水腫を起こすことが多く、病院の先生に相談したところ、レンタル酸素濃縮機の存在を教えていただきました。

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病院でカタログをもらえます

夜間に診察している病院が無い地域に住んでいることと、コロンの場合は1回目、2回目、3回目とだんだんと肺水腫の症状が酷くなっていき、とても危険な状態になって恐ろしかったので、酸素濃縮機のレンタルを決めました。

▼酸素室のレンタルを決めたときのお話はこちら

酸素濃縮器は、【酸素マスク】を繋いで使うタイプと、【酸素室】タイプが選べます。

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  • 県外でも宅配便で自宅まで送ってもらえます。
  • 酸素濃縮機のレンタル料は、1ヶ月に18,150円程かかります。(+酸素室もレンタルする場合は別料金が必要)

おすすめの酸素室タイプは?

≫初めて酸素質をレンタルした時の詳しいお話はこちら

薬代だけでも高額なので、できればレンタルせずに済めばいいな…と思って悩みましたが、結果この酸素濃縮機に後々助けられました。

酸素濃縮機の使用頻度(コロンの場合)

5月:初めて肺水腫になる ⇒ その後、1ヶ月間に3回肺水腫を繰り返す。

肺水腫を起こす度に受診しましたが、繰り返しました。

6月酸素濃縮機レンタル開始 ⇒ レンタル後1週間程使用。⇒その後呼吸が安定した為、使用中止。(レンタルは継続)

7月、8月、9月中旬まで安定して過ごし、酸素濃縮機を使用せずに経過。
突然の肺水腫に備えてレンタルは継続。
(※使用していなくても、返送するまでレンタル料はかかります。)

9月末:夜間に突然肺水腫になる。
病院が開いていない時間だった為、利尿薬と酸素濃縮機を使って自宅で応急処置。夜から朝にかけて酸素濃縮器を使用。⇒朝には症状安定⇒通院後、利尿薬を増やして病状安定。

10月:症状は安定。酸素濃縮機の使用なし。

11月:酸素濃縮機使用なし。11月11日に心臓手術。→手術後、酸素濃縮器は返送。

このように、使用頻度は低いのですが、病院が開いていない時間に突然肺水腫を起こした時の応急処置として非常に役立ちました。
もし酸素濃縮器が無かったら…危なかったと思います…。

常に酸素吸入が必要な状態でなければ レンタルすることを迷う酸素濃縮器ですが、かかりつけの病院で先生が必要だと判断された時や、もしもの時に備えておきたい場合は、レンタルをおすすめします。

僧帽弁閉鎖不全症闘病記録
【内科治療と外科治療どちらを選ぶべき?】

【投薬治療】か【手術】か。
どちらの治療を受けさせることが最善であるのか、リスクの面でも金銭面でも、ものすごく悩みました。

コロン

コロンが受けた治療は2種類です。

治療法その①
【投薬治療で進行を遅らせる内科治療】

投薬によって心臓の負担を軽減して、【悪化を遅らせていく治療】です。

壊れてしまった弁を薬で治すことはできない為、【投薬】によって症状が悪化するのをできる限り遅らせます。

薬で治せたらいいのに…。と何度も思いました。

投薬治療では、【肺水腫】を起こさない為に、薬で心臓の負担を軽減していきます。

コロン

コロンは発病後3年間無症状で過ごしていて、初期段階で投薬治療を行っていませんでした。

初期段階のコロンは【心雑音】が確認されて、たまに【咳】をする以外は至って元気そうに見えました。
定期検診では毎回【異状なし】で、私は病気発覚からの3年間、完全に油断してしまっていました。

肺水腫を予防する為の投薬治療

前述の通り僧帽弁閉鎖不全症は、悪化して肺水腫を起こすような状態になると命にかかわります。

早い段階で投薬治療を始めることで、少しでも悪化を遅らせられる可能性が高まります。

コロンは心雑音の診断を受けて3年で肺水腫を起こしましたが、投薬治療を続けることで7年間肺水腫を起こさず、今もお薬で治療中のワンちゃん(14歳)に出会ったことがあります。

症状が”心雑音”のみの頃から投薬治療を開始することが有効です。

コロンのかかりつけの病院では、治療の選択肢はこの【投薬治療】のみでした。

同じ病気で治療しているワンちゃんは他にもいたようでしたが、手術ができる病院が県内にも隣接する県にも無い為、手術を受けて心臓を治したワンちゃんはこれまでにいなかったそうです。

コロンは投薬治療を始めても、しばらく肺水腫を繰り返したので、いつまた肺水腫を起こすだろうかと恐怖でした。

コロンの場合、この投薬治療では病状を安定させることができませんでした。

治療法その②
【手術で僧帽弁を治す外科治療】

文字通り、壊れてしまった心臓の弁を手術によって【治す】治療です。

僧帽弁を縫って縮めたり、切れたり伸びたりしてしまった腱索を再建する手術で、成功すれば心臓は治り、薬を飲まずに過ごすことができるようになります。

心臓が【治る】なんて!夢のような手術!!
…なのですが、リスクがあります…。

犬の僧帽弁閉鎖不全症【手術のリスク】

手術の悩みどころ①【成功率】

難しい大手術の為、術中や術後に亡くなってしまうリスクがあります。
成功率が100%ではない為、命懸けの手術になります。

コロン

コロンの場合は成功率は9割と言われていました。

手術の悩みどころ②【手術ができる病院が少ない】

心臓の手術ができる先生が日本に数名しかいないので、手術可能な病院が少なく、お住まいの地域によっては通院が困難

日本全国で数名…

かかりつけの病院の先生が、
「日本中で5名くらいしかいないのではないか…?」とおっしゃっていました。(2023年現在)

執刀できる獣医さんの少なさにとても驚きました。

執刀できる獣医さんが少ない=手術可能な病院が少ない

ということで、私が住んでいるところからは
手術が可能な病院まで車で片道6時間程かかりました。

執刀医さんが少ない為、手術は数ヶ月待ちになる場合があります。

コロンが手術をした病院は、2021年の時点で半年待ちでした。
病気の進行具合によっては できるだけ早く手術が受けられるように優先させてくれる場合があるようで、コロンは病状が重症であった為4ヶ月待ちで手術を受けさせてもらえました。

手術の悩みどころ③【費用】

手術で使う機材が高価なことや、術後の24時間看護などの為、手術にかかる費用が非常に高額です。

できるだけ安くできるよう考えてくださっているようですが、150万はかかる覚悟が必要です。
術後の回復によって入院期間が延びると、更に費用がかかります。

後日談

術後順調に回復すればこれくらいの金額ということでしたが、実際コロンが手術した際は、術後に体調が不安定になり予定よりも長期入院することになった為、金額がだいぶ変わりました…。

気を付けなければいけないのが、手術にかかる費用だけで150万ということです。

手術までの闘病期間にかかる通院費や様々な検査(レントゲン・エコー・血液検査など)、投薬(病状によって多数服用)や酸素室レンタルなど、手術までにかかる治療費は別で必要です。

獣医さん

手術以外にかかる費用も合わせたら、200万は超えると思います。

最初にかかりつけの病院で費用を聞いた時は、その現実的でない金額に絶望しました。

≫そんな私が手術を決意した経緯はこちら

手術のリスクは犬種や病状によって異なり、事前に病院で詳しく説明してもらえます。

手術は金銭的に無理だと思い始めた頃に、コロンが肺水腫を繰り返し、危険な状態に。

何度も苦しむコロンを見て、手術をして治せたら…、治してあげたい…と思うようになりました。

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投薬治療をしているのに【肺水腫】を繰り返していたことも不安で、主治医さんの紹介のもと、循環器の専門病院を受診することにしました。

僧帽弁閉鎖不全症闘病記録
【手術可能な専門病院を受診】

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最初は、【地方に住んでいるから仕方がない…】と、手術を諦めていたのですが、コロンが短期間でどんどん悪化して肺水腫を繰り返し、苦しそうな姿を何度も見たことで、何かできることはないか…と【循環器の専門病院】を受診することにしました。

かかりつけの病院の先生が病院を探してくださって、手術が可能な循環器の専門病院を受診しました。

循環器専門病院を受診
【初めての受診ですること】

まずエコーや血液検査をして、病状を診察してもらいます。

一般の動物病院には無い機械があって、より詳しい病状がわかりました。

獣医さん

ものすごい機材がありましたよ!

と、かかりつけ病院の獣医さんが感動されていました。

検査結果を元に病状の説明や、今後予測される病状の変化などを専門的に教えてもらえます。

手術をする施設なので、手術にはどんなリスクがあるのか、手術中のリスクや手術後のリスク・費用についても詳しく説明してもらえます。

説明を聞いた上で、今後の治療を投薬治療で進めるか手術に向けて進めるかを選択します。(その場で即決しなくて大丈夫)

この時、コロンの心臓は【弁の腱索※下図】が広範囲に渡って切れたり伸びたりしていて重症であることがわかり、このままでは数ヶ月しかもたないだろうと余命宣告を受けました。

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コロンの手術の成功率は9割と言われ、治る可能性があるのなら…と、手術を受けることを決めました。

この二次診療施設での検査は、より精度の高い検査結果を得られる機械を使用している為、検査にかかる費用が高額です。(コロンの初受診は5万円近くかかって驚きました。)
更に、病院によってはお支払いが現金払いのみでカードが使えない場合がある為、事前に調べておくと良いと思います。

循環器専門病院を初めて受診した時の詳しいお話【手術の体験記録や手術までの経緯】はこちら

僧帽弁閉鎖不全症の手術までの流れ

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かかりつけの病院で相談して、手術が可能な病院を紹介してもらう。

 手術が可能な病院は二次診療施設なので、かかりつけの病院からの【紹介】が必要です。

まずはワンちゃんを連れて【診察】に行き、病状や手術のリスクなどをしっかり説明してもらいます。
 手術ができる状態かどうかも判断してもらいます。

説明を聞いた上で、手術を受けるか投薬治療にするかを選択します。

※手術には【手術待ち】の期間があるため予約が必要ですが、その場ですぐに決断しなくても大丈夫です。

手術を受ける場合は、手術の日程を決めて、術前検査など手術までの診察予定を決めます。

まずは診察をして説明を聞き、その後手術をするかどうかを決めます。

手術までの間、1ヶ月ごとに検診に行きます。
・心臓の状態を調べながら、悪化を防ぐ為に投薬治療を続けます。
※コロンの場合は病院が遠方であった為、かかりつけの病院で検査を受けて、検査結果のデータだけ送って✉病院同士で連携を取ってくださって助かりました。

手術の2週間前に【術前検査】を受けて、手術前の状態を確認します。
※この術前検査は、手術を受ける病院で行う予定だったのですが、コロンはこの【術前検査】の少し前に4回目の肺水腫を起こした為、かかりつけの病院の先生が大事を取って【術前検査】はかかりつけの病院で行って、データだけ送って対応してもらえるようにしてくださいました。

病院が遠方でも、こうやってかかりつけの病院の先生と連携を取ってもらえてとても助かりました。

手術の【前日】にワンちゃんを預けて最終検査を受ける。

・「検査の結果によっては手術ができない可能性がある」と言われてとても焦る。

≫【手術前日】コロンを病院に預けた日のお話はこちら。

手術当日の朝、最終的な手術の説明を受ける。

病院によって多少違うところがあるかもしれませんが、コロンの場合はこのような流れで手術を迎えました。

≫手術や術後の詳しいお話はこちら

循環器の専門病院を受診した感想

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さすが【専門の病院】だと思いました。
説明がとてもわかりやすくて、短い時間だったのに【病気についての情報量が凄い】と感じました。

更に!

投薬治療についても、より心臓に負担がかからない薬の配分を教えてくださいました。

診察後に薬の量を改善したところ、とても調子が良くなって驚きました!

日帰りで17時間の大移動はとても大変でしたが、行って良かったと思いました。 

≫コロンと専門病院まで長距離移動した時のお話や、大移動で役立った準備物などを紹介した記事はこちら。

【犬の僧帽弁閉鎖不全症】
薬の種類と量

参考までに、コロンが闘病中術後に飲んでいた薬の種類や量を記載しておきます。

コロン

たくさん飲んでいました。

僧帽弁閉鎖不全症の薬
【種類と量】(コロンの場合)

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心臓のお薬

  • 強心剤…ベトメディン0.75錠(1日2回)
  • 血圧を下げるお薬…アムロジピン0.5錠(1日2回)
  • 気道を広げるお薬…ネオフィリン0.5錠(1日2回)
  • 利尿薬…ルプラック0.7g(1日2回)
    ※利尿薬は最初、0.5gを1日1回→同量を1日2回と、だんだん増えていき半年でこの量に増えました。

皮膚の薬

コロンは皮膚が弱くて、ただれたようになってしまうので、術後の感染症の予防を兼ねて、手術に向けて肌の状態を整えておくために皮膚のお薬も飲んでいました。

  • アトピー性皮膚炎の治療薬…アポキル0.25錠(1日1回)
    ※術前術後は中止
  • 抗生物質…セファレキシン(1日2回)
  • 抗真菌薬…二ナゾール(1日1回)

心臓のお薬との飲み合わせなど、手術を受ける病院に確認をして、かかりつけの病院で処方してもらっていました。

僧帽弁閉鎖不全症の手術後

術後に飲む薬と量

術後は、感染症や血栓・合併症などの様々な症状が起こる可能性がある為、予防のためにしばらくは投薬治療が続きます。(約3ヶ月間)

強心剤…ベトメディン1/2錠(1日2回)
※コロンの場合は術後2ヶ月で終了。

経口抗凝固…イグザレルト1/2錠(1日2回)
術後に血栓が起こる可能性がある為、3ヶ月間飲み続けます。

コロン

通常は術後3ヶ月間飲み続けるのですが、コロンは術後に貧血が起きたり血液の数値が悪かったりした為、総合的な判断で術後1ヶ月で中止になりました。

抗生物質…ミノマイシン3/4錠(1日2回)
※術後2ヶ月で中止。

コロン

たくさんの薬を飲んでいましたが、今は心臓の薬無しで生活できるようになっています。

11才で「余命半年」と宣告されたコロンは、心臓が治って14才の誕生日を迎えることができました。

闘病中には行けなくなっていた大好きな散歩も、元気になって毎日行けるようになりました✨

心臓の手術はリスクがあり、成功率が100%ではありませんが、余命宣告をされた状態からでも、元気に回復できることがわかります。

僧帽弁閉鎖不全症は、手術で治すことが期待できる病気だと言えます。

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現在のコロン

≫たくさんの薬を効率よく飲ませる方法を模索したお話はこちら

まとめ

今回は、僧帽弁閉鎖不全症の治療や二次診療施設の受診、手術の選択やお薬について、コロンの闘病体験をまとめた記事を書きました。

定期健康診断では毎回異常がなく、元気そうに見えていたコロンが余命宣告される事態になるなんて…。

あまりにも突然でした。

手術は命がけで高額…、踏み切るにはとても勇気がいりました。

治療については、後悔しないように、できることは全てやろうという思いでした。

同じ病気で、私のように手術を受けさせるべきか悩んでいる飼い主さんがたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

手術をしようか迷うということは、病状が進行しているということでもあると思います。

手術は数ヶ月待ちになるので、迷った時は思い切って早いうちに二次診療施設に話だけでも聞きに行くと良いと思います。

手術を受けなかったとしても、かかりつけの病院と連携を取って、心臓の負担をできる限り軽減する薬の処方などを一緒に考えてもらえます。

僧帽弁閉鎖不全症の手術は、これだけの努力と出費が必要でありながら、成功率が100%ではないところが今の医療の限界で、実際手術を受けても助かることができなかったワンちゃんをたくさん見ました…。

もちろん元気になったワンちゃんの方が多くて、手術をして良かったと喜ぶ飼い主さんにもたくさん出会いました。

コロンは術後になかなか体調が安定しない稀なケースで、助からないかもしれない恐怖を2ヶ月間味わいましたが、それでも今とても元気に過ごしています。

その時に、今まで助かることができなかったワンちゃん達の存在が病院の先生達には確実に残っていて、様々な情報を元に最善の治療をしていただけたと思います。

コロンはその子達の命に救われたように感じました。

命がけの手術なので、手術を受ける・受けないの判断は、どちらを選ぼうと一番近くにいる飼い主さんがワンちゃんを想って決断されたことが正解であると私は思います。

同じ病気のワンちゃんや飼い主さんたちが、長く穏やかな日々を過ごせますように。

【僧帽弁閉鎖不全症が治るまで】
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